ごくつぶし

  

雑草しか生えねぇような大地より、
アスファルトとブロックが敷きつめられた灰色の道路の方が あったけぇ。
樹齢百何十年とかいうたいそうな大木を抱きしめるより、
ビルの地下で息してる、 ぶっとい配管の感触方が あったけぇ。
毎日毎日俺の目の前を、 同じ顔したロボット達が 同じ事を繰り返す為に通り過ぎてく。
コンクリートの箱から箱へ、 鉄のなげぇ箱から箱へ。
「おめぇら、 幸せかぁ?」
「お前みたいなゴミよりも、何倍も幸せだ。 クズ野郎。」
でも、 おめぇ、 目が死んでるぜ。 ぇえ? ロボットさんよぉ。
俺ぁ生きてんぜ。 精一杯な。
ゴミだのカスだの言われてる俺らの方が元気があるぜ。
金も地位も名誉も名声も、 何もねぇ俺らの方が、 はるかに楽しく見えねぇかい?
でも、 そういう俺らも、 ここでしか生きていけねぇ。
うじ虫共が這いまわる、 コンクリートの壁の中。
四角い空しか見えねぇ大地。
星よりネオンがきらめく夜空。
ヒップホップが流れる街角、 今日もロボット達が行き交う場所で、
白い目で見られながらも、「俺達は、 生きてるんだぜ」。 そう叫びながら、
見れねぇ夢を見ながら夜まで、
這いつくばって眠るのさ。

  

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