迷いの森

  

陽の光も届かない
ここは深い 迷いの森
いつから ここに いるのだろうか
いつから これに 気付いたのだろう
僕はずっと ここにいる
僕はずっと 独りでいる
ここには誰も入れない
深い 深い 迷いの森

もちろん ここから 出ようとしたさ
必死になって 出ようとしたさ
でも、光が見えて そちらに行くと
そこは やはり この森の中

   いつからか 僕は諦めてしまった
   よく考えると、ここは快適だ
   気兼ねはいらない 自由がある
   お腹も空かない 眠くも無い
   僕はひとりだ 一人だ  独りだ
   この森は僕のものだ

ある日、ざわざわと声がした
誰かが 誰かを呼んでいる
僕か? 僕を呼んでいるのか?
誰だ? 君は誰だ
  僕は再び出ようとする
  この深い 迷いの森から
  しかし 僕は出られない
  必死に足掻くが 出られない
     そして 僕は 気が付いた
     僕は やっと 思い出す
     この森は 僕なのだと
     僕が造った森なのだ と
  さぁ、どうやって造ったのだろう
  いつから どうやって ここに入ったのだろう
  思い出せ  思い出せ  思い出せ
  そうすれば ここから出られる!

        どれくらいの時間が経ったのだろう
        あの呼ぶ声は まだ聞こえる
        ずっと ずっと 僕を呼んでいる
        いや、呼んでいるのは 僕の方か?
            僕はずっと叫んでいた
            「誰か僕を助けて!!」と
            でも、その声は 吸い込まれてゆく
            この 深い 森の中へ
            森の中で 無意味に木魂する 声にならない声達
            そう、僕が そう造ったから
            僕が そういう風に造ったから
        なら、なぜ あの声は 僕を呼ぶ?
        僕は まだ 抜け出せないで 足掻いているのに

  この声は 逃がしてはいけない
  この声は 掴まえなければ
  あぁ、でも どうしたら・・・・・・
  僕は自分で自分を苦しめている
  そうだ、君から来てくれないか?
  声の主よ、聞こえているか?
  この森を壊して、僕を助け出してくれ!
  この森を焼き払い、全てを消して助けてくれ!!
      でも、待てよ
      この森は 僕だ
      この森は 僕自身だ
      僕も 消えてしまうのだろうか
      それとも 君も 摂り込まれてしまうのだろうか
         この 深い 迷いの森に
            永遠に 出る事ができない この森に
               誰か  いっそ   僕を      殺して・・・・・・・・・・

  

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