PS4/「ペルソナ5」感想…過大評価、長い / やり込み in FF

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長くて虚無になるストーリーでした。もう日本ゲームの新作はしばらくいいです…


 PS4ソフトの
「ペルソナ5」をクリアしたので、その感想を書いてみようと思います。内容は、「過大評価」「長い」の2つに集約できます。
 …まず、「ペルソナ」シリーズは、アトラス開発のRPGであり、心の力である「ペルソナ」を用いた召喚獣バトルが展開される。特徴として、一般的な日本のファンタジーRPGと異なり、
現実世界を舞台としたうえで人の心の内面に踏み入った物語が展開され、その特異性もさることながら、2Dイラストを効果的に用いたスタイリッシュな演出や洋楽モチーフのBGMなども人気が高い。そして、今回扱う『5』は、ナンバリング5作目として2016年にPS3/PS4で発売された作品であり、日本ではパッケージ50万本以上、世界で200万本以上を売り上げたヒットタイトルだ。そのファンからの評価は凄まじいものであり、「2016年最高のゲーム」「JRPGで一番の出来」などと派手な持ち上げ方をされ、海外評価の参考となる”メタスコア”も93点と極めて高いものになっている。その他、中古価格は今なお5000円程度と高値を保っているほか、テレビアニメ版も現在放送中である。
 ――さて、私のほうの状況を言ってみると、私は数年前にPSvitaで「ペルソナ4:ザ・ゴールデン」をプレイしたことがあり、その当時も過大評価気味と思いながらも、楽しくプレイを終えることができた。そして今作は、『4』以来の正統続編であり、据え置きハードでの作品かつユーザー評価が極めて高いということを踏まえ、
『4 ゴールデン』を大幅に上回る大作RPGとしての出来を期待していた。主要な比較対象は、日本製の大作RPGということで、「ドラゴンクエスト11」「ファイナルファンタジー13」といったところである。

 そんな感じの、派手な期待をいだいてプレイした作品だったのだが、その最終的な評価は、「過大評価」「長い」という微妙なものにならざるを得なかった。まず、避けて通れないのは
物語面の話である。本作は平均的なクリア時間が80時間程度とされており、体感だがその半分程度はシナリオパートである。そのストーリーが、本作最大の問題点と言えるほどに崩壊しているのだ。
 …まず、「ペルソナ5」の導入部分について簡単に述べてみると、ある理由で転校生となった主人公が、体育教師の苛烈な体罰に巻き込まれ、その過程でペルソナ能力に目覚め、人の心に潜入して悪人を”改心”させるようになっていく…というものである。この冒頭に関しては、とりあえず大きな文句は無い。
 ――ところが、その”成功”に味をしめた主人公たちは、「心の怪盗団」を名乗り、世の中の”悪”をペルソナ能力によって一方的に裁いていくようになる。
ここから先の展開はあまりにも酷い。まず、”改心”とは言っているが、やっていることは「暴力による思考の改変」であり、私からしてみれば殺人と同程度の嫌悪感をいだかせるものである。しかも、物語冒頭以外は、「怪盗団」が有名になるための遊びをやっているかのような状況となり、その演出からは「相手の精神を崩壊させて社会的に抹殺することになる」「失敗すれば自分たちも死ぬかもしれない」という緊張感など全く感じさせない。そして、そんな主人公側をそれでも「正義」とするために、敵陣営は「こんな人間いるか?」というレベルの悪として描写されている。これならば、まだ現実世界の日本のほうがマシだ。物語におけるトリックスターとして活躍していた悪役たちも、ある一点を超えた瞬間に急速な小物化が始まり、どこにでも居るやられキャラになってしまう。そして最後は、唐突に「神」を名乗る存在が現れ、これまでの物語展開を全て茶番にしたうえで消滅する。何なんだこの物語は。

 そもそも本作のシナリオは、現実世界の日本を舞台とし、「怪盗」「警察」「探偵」などのキーワードを用いているにも関わらず、
細部が稚拙すぎるのだ。例えば、「主人公たち一行が、屋外でも平気で集合して『怪盗』『改心』と言ったキーワードを大声で喋る」「電話やインターネットなどで、特に伏せずに関連用語を使用する」「周りを警戒せず、人の集まる場所で堂々と異世界に突入する」と言った感じである。これらは全て、物語の進行に重大な影響を与えた要素である。とりわけ、物語の大きな山場となった「脱出トリック」は本当に酷いもので、警察組織を扱っていてあのずさんさは有り得ない。その直前のダンジョンがBGM・グラフィックなども含めて大きく盛り上がる出来だったことも含めて、全てが急転直下で台無しにされたものであった。
 …ちなみに本作では、現実世界の社会問題を扱っている印象も受ける。しかし、
物語全体の作りが粗雑なせいで、深刻な問いかけとしては全く聞こえてこない。例えば、ある事件では、いわゆる「ブラック企業」をテーマとしているが、皆さまご存じの通り、そういった会社が存在する背景には、「慢性的な資金不足・人材不足」「労働を美徳とする日本の価値観」「未だに経済大国の感を捨てられない国民意識」「農耕民族としての国民性」など様々な問題が関わってきており、容易に解決できるものではない。ところが、本作では「過酷な勤労を強いる経営者が悪い!」と決め付け、怪盗団の力によって”改心”をさせる。無理にそんなことをしても、もっと酷い考え方のナンバー2が台頭するかもしれないし、経営が傾けば失業者が出てくることはもちろん、従業員やその家族の人生が狂って自殺者も発生するかもしれない。それを、「怪盗団のせいだ」と言われた時に、果たして本作の主人公たちは胸を張って反論できるだろうか? そういった問題提起は、作中でも一応は為されないことも無いのだが、そのほとんどが投げっぱなしにされる。そもそも、人の心の欲望のみが顕在化した精神世界をわざわざ覗いておいて、それを一方的に断罪することは、果たして本当に「正義」なのだろうか。この問いですら有耶無耶にされて終わった。
 ――というわけで、本作の「現実世界が舞台」という設定は、完全に悪い方向に作用してしまっている。他の作品でも、例えば「魔王軍の司令官」を名乗る人物が全く司令をしていないなどという点が見られることはあるが、あちらはあくまでファンタジー世界であり、多少の現実感の無さは許容できてしまうものだ。逆に例えば、FF13の舞台が架空世界でなく日本で、聖府軍ではなく自衛隊、内閣総理大臣の正体は神の使いであり、その目的は人類を抹殺して神の世界への門を開くこと…というシナリオだったら
キチガイとしか思われないだろうが、だいたい『ペルソナ5』の世界設定がこのレベルである。

まさかこの人の割り込みが癖になってきた辺りがピークだったとは…


 というわけで、『ペルソナ5』のシナリオの「内容」の酷さは既に分かっていただいたと思うが、その虚無感を加速させているのが、
「長さ」である。
 …やれ、本作の標準的なプレイ時間は80時間と、一般的な大作RPGの約2倍と言える数値である。ところが、その時間の半分・
40時間ほどは、上記のようなストーリー語りに費やされる。その演出も、そのへんに居そうな高校生たちがタラタラ喋るというシーンが大半であり、本編の物語と関わらない無意味な場面も多い。この長さは、2分の1でも手ぬるい。4分の1に圧縮しろ。また、サブイベントと言えるコープ(キャラクター固有のミニシナリオ)も、左から入って右に抜けていくような会話が多い。しかも、それを進める中で、話し合いで解決できる問題であってもバトル=”改心”で何とかするような演出が目立つ。まさしく暴力による洗脳であり、ゲームの進行上は仕方がないと分かっていても、決して気持ちの良いものではないのだ。
 ――とはいえ、あえて擁護をするのなら、
現実世界の高校生など、この程度という感じなのかもしれない。確かに、現実の人間が「何の証拠も残さずに他人の思考を改ざんできる能力」を得たとしたら、本作のように身勝手な正義を掲げて、自己実現や承認欲求のために他人を裁いていく者が出てくるかもしれない。また、徹底して「無能と無責任の集合体」として描かれる一般大衆も、このネット世界の現状を俯瞰してみれば、大きく外れてはいないと言えるだろう。しかも、本作の主人公たちは、高校生とまだ幼いうえに、全員が何らかの社会的・精神的問題をかかえている。そういった未熟な者たちが超常の力を手にしたら、このような突拍子も無い行動に出ても、決しておかしくはないのかもしれない。そんな感じで、本作のシナリオには、一周回って奇妙なリアリティが存在するとも評価できるだろう。まあ、それがシナリオライターの狙いだったとは思えないのだが…。

 ちなみに、逆に良い点については、
グラフィックやBGM・戦闘システムなどが挙げられる。グラフィックは、大作クラスには遠く及ばないものの、世代相応に強化されており、3Dムービーやアニメシーンも効果的に使われている。BGMは、前作の『4 ゴールデン』と同じく、洋楽をモチーフとしたものであり、本作独自の雰囲気を作り上げるのに大きく貢献している。戦闘システムも、序盤は弱点属性を突いて転倒させれば勝ちだが、中盤以降は弱体・強化やバトンタッチを上手に組み合わせていく必要があり、いろいろと工夫して楽しむことができた。その他、ダンジョンが前作のようなランダムマップで無くなったのも大きな進化であり、特徴的なギミックとグラフィックを味わえた。ボスも、どれも戦闘面では個性的で、やりがいのある敵となっている。
 ――しかしながら、これらの良い点を全て挙げたとしても、
いいとこ「良作」止まりという印象である。戦闘については、相変わらず特に意味もなく主人公が死ぬとゲームオーバーであり、転倒による連続攻撃は敵も使えるため、全体魔法で弱点を突かれる味方が1人居ると著しく不利になる大縄跳びオフラインとなっている。その他、敵の全体物理攻撃が誰か1人にクリティカルして連続攻撃で終了、主人公に即死魔法がいきなり命中して全滅、などと理不尽な展開からリセットに繋がる状況が散見される。そもそも、シナリオほどではないとはいえダンジョン攻略も冗長ぎみであり、全滅して30分ほど戻されるだけでプレイ意欲に大きな影響を与えていた。また、グラフィックも、確かに前作に比べると強化されているとはいえ、PS4の「大作」として積極的に楽しめるほどではない。音楽に関しては手放しで称賛できるが、その演出が最も効いていたカジノからの大暴落を考えると、全体としてはどうだか…。

 というわけで。私の「ペルソナ5」の感想は、
「長い、シナリオ酷い。疲れた」という感じであり、PS4の大作を求めていた身としては完全に期待外れとなった。世間の熱狂的なまでの持ち上げは異様であり、過大評価と言わざるを得ない。せいぜい「中堅RPGとしては面白い」と言ったところか。
 …やれ、この高評価には、同じく2016年に発売された某つれぇゲームの影響もあるのだろうが、
あれより面白いことなど当たり前である。本作は、良いところだけを最大限に持ち上げてもせいぜい「良作」が限度で、全プレイ時間の半分は「頭の悪い『DEATH NOTE』」といった趣の物語に費やされる。私のプレイ時間は75時間であったが、他の大作を2〜3本はクリアできる時間を消費してこれでは、ちょっと悲しいというものだ。それと同時に、このクラスのゲームすらビッグタイトルとして持ち上げなければならなくなった日本のゲーム業界自体にも、もう諦めに近いものを感じてしまった。何だろう、「ネットが正義!」とか言いそうな10代後半から20代前半くらいまでの層にとっては、こういうシナリオが刺さるのだろうか…?
 ――総合して、この「ペルソナ5」は、私にとって残念な出来であり、プレイ時間と期待に比する満足度は得られなかった。もし、何年後かに続編が出て、それが如何に高評価を得ていたとしても、もはや興味をそそられることは無いだろう。もう、日本のゲームはいいです…。

登録タグ/ ゲーム一般

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