低レベルクリアープレイ日誌

【第十六話 巨竜落つ!完成、無敵の布陣!】

 何故今更FF12の低レベルクリアープレイ日誌を?と思った人は多いだろう。これを書いているのは2007年の7月。不滅なるものを倒してこのプレイ日誌の連載を終了させてから、実に10ヶ月になる。当時高校三年の受験生だった俺も、志望校に合格し大学生となってしまった。
 FF12最強の敵であるヤズマット(ゾディアークが最強という説もあり)のハメ技をひょんとしたことから考えだし・・・ついにその作戦が完成の時を迎えた。その作戦は、どれだけレベルが低くてもヤズマットを確実に倒せてしまうものであり、しかもアルティマニアΩに載っている戦法と違い、プレイヤーは最初以外一切コマンドを入力する必要がない。どうせ実演するのならば、レベルが低いほうがインパクトが強いだろう・・・ということで、低レベルクリアーの時のセーブデーターを久し振りに引っ張り出してプレイしてみた。
 というわけで、今回はヤズマットハメ作戦の話である。

 ヤズマットは5000万という別格のHPを持つ裏ボスである。倒すのに数時間という時間が必要であるため、それを何とかFF12のコンセプトであるガンビットに任せて自動化できないか、というヤズマットのハメ技については発売直後から議論されてきた。もちろん俺も考えたが・・・その時の結論は「不可能」というものだった。その理由は、
 ・『必殺』がリーダーに来た瞬間に高い確率で失敗が確定する
 ・通常攻撃に回避不能の即死の追加効果があり、瞬時に状況が崩される
 ・非常に威力の高い『サイクロン』と威力が高い上にストップの追加効果が嫌らしい『ホワイトブレス』が存在する
 ・・・等々。さらに決定的なのが、ヤズマットの最大の特徴であるHPの多さである。これだけのHPを完全に削りきるには非常に時間がかかり、何度も何度もヤズマットの攻撃にさらされることになる。例え相手の一回の攻撃で状況が崩れる可能性が0.01%ほどであっても、そんな戦術はハメ技としては何の役にも立たない。何時間も繰り返していれば、いつかは必ず失敗してしまう。ハメ技では、100%でなければ0%と同じことなのだ。
 しかし上記の理由により、ヤズマットの攻撃をまともに受けて100%の安全性で乗り切ることは困難、いや不可能だ。そういうわけで、ヤズマットのハメ技は考案されてこなかった。

 さて、一部では「待避所アタック」というテクニックとして知られていたことであるが、アルティマニアΩによって「壁に隠れて反射魔法で攻撃」という戦法が紹介され、それによってヴァンLv1一人でヤズマットをROUND1で倒す、いわば「ハメ技」が確立された。
 個人的には、もちろん素晴らしい技術力と深いFF12に関する知識により初めて成り立つ戦術であるとは思うが、「ハメ技」とこれを呼ぶのは違うと思った。FF12におけるハメ技は、そのシステムであるガンビットを使い一切触らずに敵を倒すことであると思う。だから、一方的に相手を攻撃して倒せても、コマンドを入力している以上は、ハメ技とは思えないのだ。
 俺はFF12の魅力は、強大な敵をいかにしてガンビットで打倒するか、ということにあると思っている。だから低レベルクリアーのオメガmk.XII戦(・・・と言っても、このプレイ日誌の二話前)では、手動でストップをかけなおせばいいものを、余計に苦労するハメ作戦のようなものを作って撃破しようとしたのだ。あれも、ガンビットで敵を倒すことがFF12における目標であると考えていたからゆえだ。

 そんなこんなで、俺も独自のヤズマットハメ技を考えてみた。最強武器決定戦のボウガン編にあるのがそれである。ヤズマットの「『必殺』を最も近い敵に使用する」という特性を利用し、盾役の二人にそれを受けさせた上で、攻撃役がギリギリの距離から打撃攻撃を加えるというものであった。遠距離で戦うとヤズマットの行動は『必殺』と『サイクロン』のみに限定される。そして配置を工夫すると『サイクロン』さえも当たらなくなり、攻撃役は全く攻撃を受けずに一方的に打撃を加えることができる。完璧と思える戦術を組み立てることができた。
 だが、この戦術には決定的な問題点があった。盾役の二人は『アレイズ』を使って互いを蘇生させていくわけだが・・・割り込み不能の『必殺』で殺されたキャラを蘇生させる時、そのキャラクターの立ち位置は元にいた場所から自動的に変更される。その変更が何度も何度も繰り返されるうちに、ヤズマットの通常の攻撃範囲に入ってしまうことがあり、そのときに『ホワイトブレス』を食らってしまいキャラクターがストップ状態になってしまうと、キャラクター同士の蘇生が崩れ、この作戦は失敗してしまうのだ。
 その改良版としてストップを無効化する『リボン』を装備させてみた。確かにストップ状態になることはなくなったが、今度は『ホワイトブレス』で一気に7000ダメージを受け、Lv99の盾役が即死してしまった。それを防ぐために氷半減の『アイスシールド』を装備させてみたが、今度は『シェルシールド』が装備できないため、『必殺』を受けると必ず死ぬ。そのため盾役は毎ターン蘇生を繰り返すことになり、MPを回復させる時間が全くない。そこで『サイクロン』のダメージを正確に計算し、『サイクロン』の後はMPを回復、それ以外の攻撃(『ホワイトブレス』等)を受けた時は次のサイクロンに備えて即座にHPを回復させる戦法を考えてみた。しかし、装備で半減する『サイクロン』『ホワイトブレス』以外にも、ヤズマットは『ひっかき』などの強力な攻撃を持っている。そのダメージがサイクロンのそれを超えることもあり、厳密にサイクロンとそれ以外の攻撃で受けるダメージを区別して行動を分けることは不可能。結局『ひっかき』を受けたがMP回復、次のターンのサイクロンで死亡、次の必殺で終了、という結果にしか及べなかった。

 この戦法の決定的な欠点は、結局ヤズマットの攻撃を真正面から受けていることに変わりない、ということだ。アレイズ蘇生の連打でキャラの位置が崩れヤズマットの行動範囲内に入り、『必殺』『サイクロン』以外のヤズマットの攻撃を受ける。それが"たまに"であっても、ハメ技においてはそれは毎回攻撃を受けているのとなんら変わりない。最初に書いたように、ヤズマットの攻撃を真正面から耐えようとしても、絶対に不可能なのだ。いつかは連携が崩れて失敗してしまうのだ。
 そういうわけで、この方面からのヤズマットハメ作戦は完全に頓挫してしまったわけである。


 さて、上の作戦を実行するため、セロビ台地をかけまわって『リボン』と『ハイエーテル』を集めていたときのことである。集めながら、俺は考えていた。従来の戦法をどう改良しようと、この戦法でヤズマットをハメることを出来ないのではないか、と。結局この収集作業も無駄になってしまうのではないか、と・・・。
 何とか別の方面からアプローチできないものか。例えば、魔法や技。非常にたくさんの魔法や技があるFF12だが、俺がやり込みプレイで使うものはわずかだ。それ以外の使っていない魔法や技から、何か活路が見出せないものか・・・。

 そうだな。技『蘇生』なんてどうだろうか。昔、こんな話を聞いたことがある。FF12では戦闘不能状態から復活した直後の味方を、敵は攻撃対象とすることができない。だから二人で交互に『蘇生』を使いながら進めば、雑魚敵の攻撃を一切受けずにダンジョンを進むことができるのだ。味方を蘇生させて自分が戦闘不能になるという、通常プレイではおよそ出番のない『蘇生』であるが・・・案外、こういうやり込みプレイでは目覚ましい活躍ができるのかもしれないな。
 さくっと考えた戦術はこうだ。まず、盾役の二人が『蘇生』を繰り返し使い、ヤズマットを翻弄する。その隙に、攻撃役は遠距離から魔法を跳ね返して攻撃する。盾役がヤズマットの『必殺』に狙われた時、そのキャラは既に『蘇生』を使い戦闘不能状態になっており、ヤズマットの攻撃はキャンセルされる。復活したもう一人の盾役は当然『必殺』に狙われることになるが、その時には蘇生を相方に使っていて、ヤズマットの攻撃は当たらない。割り込むことが不可能な厄介な攻撃『必殺』であるが、『必殺』自身も何かの特殊行動に割り込むことが不可能なのだ。そうやって攻撃を防げば、遠距離からの魔法の反射を使って一方的に攻撃することができるのではないか・・・ということだ。ヤズマットは一瞬ではあるがこっちのキャラクターを攻撃対象として指定しているので、常に戦闘態勢にある。つまり、ヤズマットの自動治癒が発動することはない、ということになる。

 別にわざわざ『蘇生』なんて使わなくたって、アレイズで復活させても同じじゃないか・・・と思うかもしれないが、この作戦が優れている点は、まず技『蘇生』の発動にMPなどのコストが必要なく無限に繰り返せること、『サイクロン』さえも同じ戦法で回避できること、そして何より割り込み不能の『必殺』の発動により立ち位置がずらされる危険性が、全くなくなったことがある。
 これだけ状況が違ってくれば、うまくいくかもしれない。まあ何の準備も必要ないし、この戦法が失敗しても、それはそれで問題ない。とりあえず実験してみるくらいならいいだろう。・・・というわけで、さっそくやってみた。ガンビットはシンプルに盾役のヴァンとバルフレアが「味方一人 - 蘇生」、攻撃役のパンネロがリフレクトメイルを装備し「自分自身 - ダーク」で。

 ・・・やはりそう都合よく上手くはいかない。蘇生を繰り返していくうちにタイミングが微妙にずれていき、必殺を食らって終わってしまうのだ。ふーむ、まあこんな一行ガンビットでハマるヤズマットなら、発売から1年半近くが経過した今、もうとっくに誰かがこの戦法を使ってハメ殺ししているはずだ。そうでないということは・・・やはり駄目ということか。
 しかし、この作戦を止めたところで、俺には既に行き詰った戦術しか残されていない。もう少し考えてみよう。
 まず盾役を『必殺』を受ける遠距離ではなく、近距離で『蘇生』を繰り返させてみる。これならどうだっ・・・!が、『蘇生』のモーション中に打撃を受け、その追加効果で盾役が死亡。余計駄目になってしまった。
 気を取り直して、今度はパンネロの攻撃魔法を『ダーガ』に変えてみる。これなら簡単に9999ダメージが出るはず。さあ、どうなる・・・?

 ・・・俺が大学で聞いた話であるが、夢と言うものは、自分が本来希望した場所・形と違う形式でかなうことがあるという。
 これも、そういうことなのかもしれない。

 演出の重い『ダーガ』に阻まれ『蘇生』キャラがバーを満タンにしたまま待機。その待機中にヤズマットは『必殺』でそのキャラをターゲッティングする。だが、バーがたまったのは『蘇生』が先。そのキャラは戦闘不能状態になり『必殺』はキャンセルされる。その間に反射ダーガの準備が整い9999ダメージを与え、その間に盾キャラは『蘇生』のバーをため、ヤズマットは盾キャラを狙うが、その時には既に蘇生の入力が完了しており次の盾キャラへと変わる。そして再びダーガがヤズマットを襲い・・・。
 ・・・勝った。決まった。ハマった!これしかない。これなら行ける!
 さっそく実際にやってみた。何度か失敗を繰り返したが、そのたびに問題点を洗い出して作戦を改良し・・・14時間かかったものの、ついに完全放置でヤズマットを倒すことに成功!
 できたぜ、俺のヤズマットハメ作戦!


 その戦術をここに書いてもいいのだが・・・俺は冒頭にこう書いた。「どうせ実演するのならば、レベルが低いほうがインパクトが強いだろう」と。この作戦自体は、ヤズマットの攻撃を受けないものなので、レベルは全く関係ない。ならば、低レベルメンバーでやるのみ。この作戦が完璧なハメ技であることを実証するには、出来るだけ厳しい条件でやったほうがいい。というわけで、低レベルメンバーでこの戦術によるヤズマット攻略をやってみた。
 「この作戦が完璧なハメ技であることを実証」したいのは、別に誰かに対して示したいってわけではく、俺自身に対してってのもある。これまで何度も何度も俺の作戦を握りつぶしてきた神竜ヤズマット・・・。ついに、雪辱のときが来た。


 ヤズマットハメ技を高レベルメンバーで行う場合、戦術は非常に単純で『蘇生』でヤズマットを翻弄しながらひたすらダーガで攻撃するだけである。これなら失敗はまずあり得ない。
 これと同じことを低レベルメンバーで行おうとする場合・・・巨大な壁として立ちふさがってくるものがある。それは、MPである。高レベルキャラなら『ダーガ』で簡単に9999ダメージを与えることが可能だが、低レベルのキャラではそれはできない。ダーガの消費MPは賢者の指輪を装備して半減させると10。大ダメージを与え、この消費MPを超えるMPを『加ダメージチャージ』で得なければいけない。
 低レベルキャラの「ダーガ」で最も大きいダメージが出せるのは、Lv3のアーシェに以下を装備させた時である。

 賢者の杖
 黄金のスカラー / 黒のローブ / 賢者の指輪
 (魔力55)

 くしくも・・・というより当然の結果であるが、アルティマニアΩに載っていた作戦の装備と全く同じものとなってしまった。
 この装備でアーシェの魔力は55。黒のローブで闇属性を強化し、魔装備の賢者の杖と黄金のスカラー(サークレットより素早さが上がる点で優れている)で魔力を激増させ、さらに瀕死状態にしてヤズマットの弱点の闇属性を突く「ダーガ」を使えば、ダメージは7808〜9218。MP回復はダメージ7000台で10、8000台で15、9000台で20、9999+で30である。消費MP10の『ダーガ』を使っていってもMPが減少することは絶対にない。
 ただこの装備品の場合、自分で『リフレク』をかけなければいけない。その消費MPは4。次のリフレクをかけるまでに一回でも8000以上のダメージを出せば結局お釣りがくることになる。まあ確かに100%とは言えないが、いくらなんでもMPが尽きることはないだろうし、問題はないと言えよう。
 この状況が変化するのは、ヤズマットのHPを半分まで削った後である。奴は『被ダメージカット』の能力を得て、ダメージを7/10にするのだ。この状態の時「ダーガ」で与えるダメージは5466〜6453。回復MPは5か7。今度は『ダーガ』を使うたびにMPが減っていってしまう。MPが尽きたらエーテルで回復・・・と行きたいところだが、仮に一回につきMPが4減っていくとしてエーテル99個のMP回復量7425で与えられるダメージは、ダーガ一発を6000ダメージとして1137,5000。非常に大きな値ではあるが、ヤズマットのHPは半分に削っても残り2500,0000。全然足りないと言っていいだろう。
 しかしそんなことは適当にハイエーテルを99個集めれば解決する。それよりも問題なのが、エーテルを使う瞬間が非常に大きな隙となるということである。この作戦のそもそもの発端は『ダーガ』に他のアクションが割り込めないことに注目し時間を調整しながら『蘇生』で攻撃を避ける、というものであった。だがエーテルの使用には『蘇生』は割り込むことができるため、そこでタイミングがずれてしまう。場合によっては連続でヤズマットが攻撃対象を指定できない状況が続き・・・自動回復によりHPが回復していってしまう。それではまずい。この戦術は根底から崩されることとなる。
 そこで、『蘇生』キャラにも魔法を反射させて攻撃を行う。最初の計画では攻撃役は蘇生を繰り返す二人から離れて魔法を跳ね返す予定であったが、それをあえて接近させる。こうすると一回の『ダーガ』詠唱につき二回の攻撃ができることになり、回復MPも単純計算で2倍。5466〜6453ダメージで5000台が出ると回復MPは5、6000台では7であるので、仮に5000台が二回出ても『ダーガ』でMPが減ることはなく、6000台が出ればむしろ回復することになる。『リフレク』の消費MPの問題もこれで解決だ。


 これで全ての問題が解決したことになる。後は実践あるのみ。
 装備は下のようになった。

 ◆ヴァン・バルフレア (『蘇生』役)
 素手
 デュエルマスク / ラバーコンシャス / ルビーの指輪

 1.(相手の名前) - 蘇生


 ◆アーシェ (『ダーガ』役)
 賢者の杖
 黄金のスカラー / 黒のローブ / 賢者の指輪

 1.HP<20%の自分 - リフレク
 2.HP<20%の自分 - ダーガ
 3.自分自身 - たたかう


 ヴァン・バルフレアの装備は特に重要である。最初に反射魔法が届く位置までヤズマットを誘導する必要があり、その時に数回攻撃を受けてしまうのだ。そこで軽装備で最大HPを上げ(ミラージュベストは早さが上がるため失格)、プロテス+バブル+リバース状態になってそれを乗り切る。誘導が成功したらどちらかがさっさと『必殺』で殺される。ヤズマットを誘導する場所であるが、シンプルに北側階段におびき寄せることにした。戦闘開始直後にヴァンとバルフレアを登場させて少し右に移動し、ヤズマットが移動し始めたら階段左の方に移動して、ヤズマットを出来る限り北側階段にひきつける。これでアーシェが階段の下の右の柱の陰に隠れれば、敵の攻撃は届かないがリフレク反射魔法は届く、という理想的な位置関係が完成する。
 以降ヴァン・バルフレアの二人は『蘇生』をひたすら繰り返し、アーシェは自分を殴って瀕死になった後は自分にリフレクを張りながらダーガで攻撃する。アーシェ自身と盾役の片方に魔法を跳ね返してダメージを与えていき、ヤズマットのHP5000万を削りきるまで大体10時間。しかし、最初の誘導さえうまくいけば、以降は一切触らずに勝利を手にすることができる。
 書く場所がなかったのでここに書くが、バトルスピードは最速にしておこう。これをうまく調整すれば絶妙なタイミングで蘇生できるのではないか・・・と思ったこともあったが、結局最速が一番良かった。ちなみに最初は最速+エルメスの靴でヘイスト状態になっていたので、バーの溜まる速度が速すぎてタイミングが合わず、自動回復を発動させてしまったりもした。


 ・・・これにてヤズマットハメ殺し作戦は終了である。長かった。バトル自体ももちろん長かったけれど・・・戦術が完成するまでも長かった。でも、出来た。試行錯誤を繰り返して、最後には強敵をやっつける。これぞやり込みだ。この戦術を使えば、ほぼ100%の確率でヤズマットをガンビットだけで放置で倒せるはず。
 ついに完成したぜ、ヤズマットハメ殺し作戦!

 そして最後に、これだけは言いたかった。





















 


 ヤズマット涙目wwwwwwww







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