機械の温もり

  

愛だとか 思いやりだとか、
そういった 鬱陶しいモノはいらない。
人との繋がりだとか 想いだとか、
そういった 煩わしいモノから 解放されたい。
まとわりつく温もりなど、 いらない。
そんな時に キミと出遭った。
感情など無い 冷たいキミは、
ただ、 インプットされたプログラムに沿って 動く。
毎朝 決められた時間に起き、
決められた事を 次々と確実にこなしてゆく。
夜になると自分専用のベッドに入り、
翌朝までにリフレッシュと充電を済ませる為に、
ボクの事など考えもせず、 深い眠りにつく。
そんなキミが ひどく可愛く、
狂おしいほどに愛しく、
人より温かく感じてしまう。
キミはボクに安らぎを与えてくれる。
毎日、 変わらぬ想いで ボクの側にいて、
変わらぬ愛を ボクに注いでくれる。
キミの冷たい体が、 ボクには一番温かく感じる。
キミの無表情な瞳が、 ボクには一番優しく感じる。
キミは、 ボクが 唯一愛せるヒト・・・・・・・・

感情など持たぬ機械の方が 愛せるかもしれない。
何も煩わせない機械の方が、 安らぎを与えてくれるのかもしれない。
大事にすれば大事にされたなりに、 手間をかければ手間をかけたなりに 素直にそれに応えてくれる。
そんなモノの方が、 今は より人間的なのかもしれない。
そんなモノしか愛せないヒトも、 いるかも しれない。

  

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