もう 誰も いかないで

  

何も言わずに 独り 去った人がいた
僕は 何が起きたのか理解出来ずに、
ただ、受話器を持ったまま 立ち尽くすだけだった
僕は何故気付かなかったのだろう
僕は何故、大丈夫だと思っていたのだろう
何も できなかった。 いや、何もしなかったんだ
僕は逃げていたのかもしれない
何も聴かずに
何も 観ずに
 
そんな話を君にしたら、
君は「私が死んでも泣かないでね」 と言った。
「私が死んでも、それはあなたのせいではないから。
 あなたは何も気に病む必要は ないから。
 だから、 お願い。
 自分を責めないでね。」
そして君は行ってしまった
僕の手を離れて
 
何故行ってしまったの?
何故話してくれなかったの?
僕は聴いたのに。
君をずっと観ていたのに。
今度は逃げないで、 君を受け止めようとしていたのに
何故・・・・・・・・・・
 
「・・・・・・・・・・それはね・・・」

  

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