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【弊社】ナンニデモ=AI / やり込みinFF

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2025年11月27日(木)
【弊社】ナンニデモ=AI


 
あ、これやったことあります


 最近、我が情シス部門では、
「職員の電話対応を楽にするために、頻出する質問をAI回答にしよう!」という計画が進み始めた。私は、「いや、それは昔ながらの『よくある質問』ページを作れば済みます」と主張したのだが、聞き入れて貰えなかったのだ。
 …まず、我が部門に、“似たようなトラブルの電話”が何回も掛かってくるのは事実だ。例えば、今日もあったのだが、「プリンタで印刷ができなくなった」という相談について、私は即座に「パソコンから命令を出してもウンともスンとも言わない感じですか?」と質問した。それに肯定の返事が返ってきたので、私は
「ジョブ詰まり=印刷ジョブがエラーを起こし、それ以降のプリントも行えなくなった状態」と目星を付けた。実際、現場で起こっていた問題はまさにそれであり、スタートメニューからプリンタのプロパティを開き、全ての印刷ジョブを削除することで、解決をした。
 ――その他、私物PCがインターネットに繋がらない場合は「プライベートWi-Fiアドレス」がONになっている、キーボードのHキーが入力できなくなった場合は「田」
(Windowsキー)をクリックして検索欄に適当に文字を入れて戻る、スマートフォン型端末のタッチパネルが効かなくなった場合は側面の電源ボタンを7秒以上押して強制再起動、職員IDカードを忘れた場合は別部門へ連絡…などなど、パターン化された問題は、実に多い。
 そして、
それらの電話が、ただでさえ忙しいSE部の業務を圧迫しているというのも、また事実だ。まあ、私は、電話が来ると喜ぶ変態だから置いておくとして、1000人以上が在籍する我が職場で、SE部のレギュラー職員はたった3人であり、電話が無くても、PCやサーバーの交換やメンテナンス、物品の整理、そして複雑怪奇なトラブルの検証、マニュアルの作成などと、てんてこ舞いである。そこに、「インターネットで検索しろよ…」で済むような電話が繰り返し掛かってくると、うんざりする気持ちになる人も居るかもしれない。

 ということで。「簡単な電話対応の手間を省く」というのは、確かに業務省力化において、重要なことであろう。しかし、
そのアプローチとして、対話型AIを用いるというのは、優れた方式とは思えないのだ。
 …というのも、弊社は、「何万・何十万と社員がいて、複数の拠点が存在する」という、“ちょっとした国家のような巨大企業”
ではない。よって、SE部が提供できる典型のトラブルQAなど、せいぜい数十個というところだ。これくらいならば、単純な階層型の羅列であっても、そこまで探すのは難しくはならない。また、そのQ&Aを読むのも、職員限定である。よって、一定以上の知識層を期待してよく、まずは機械の種類・名称から絞り込んでいくことで、問題なく、回答へと辿り付けるであろう。そして、“それらで解決できなかったときに、最終的に人間オペレーターの電話対応が必要となる”のは、「AI」も「よくある質問」も同じだ。
 ――しかも。ひょっとすると、「AIならば自動で成長・進化して、最適な回答を用意してくれる」というイメージなのかもしれないが、
それは誤りだ。グローバルなAIならば、検索エンジンなどで情報を自動収集できるため、自動的に進化するという捉え方もできるかもしれない。だが、社内のみの限定環境の場合、元となる学習データーは、人間がキーボードなりその他の手段で、入力する必要がある。それに、AIが誤った回答を導かないかも、結局、SE部の職員が監視しなければならない。さらに、“過去には問題が発生していたが、その後のアップデートで解決した”という場合、「よくある質問」ならその回答を消すだけで済むが、AIであれば、関連するデーターを全て消去したうえで最初から学習をやり直す必要があり、はっきり非効率だ。というような感じで、「事業所内のみで使用する、数十個程度のQ&A」では、AIの強みは全く活かせず、かえって手間を増やすだけとしか思えないのである。メリットは、「FAQを全く読まないが、対話型AIなら何か分かる気がする」という職員に対応できる以上1点だ。

新しい物を「全く受け入れない」のと同じくらい、「過大評価する」のも駄目


 そういうわけで。「弊社で頻出する情報トラブルの問題を、生成AIに担当させよう!」というのは、典型的な、AI導入が手段ではなく
目的化しているパターだ。
 …やれ、この案件は、「電話回答のための手間を減らす」が
目的であり、そのためにAIという手段が検討されるべきだ。だが本案件では、「AIを導入する」ということが最初に決められた結果、その後がグダグダになってしまっている。恐らく、いつもの上層部が、中抜きだけが取り柄の大企業から、「周りの会社はみんなAIを使っていますよ」とか「いま導入しないと乗り遅れます」などと言われ、口車に乗せられてしまったのだろう。投資詐欺とかに簡単に引っかかりそう。
 ――だが、所詮は数十個のQ&Aに対してAIを導入するのは、莫大な手数料と処理用の機械が必要となるうえ、そのAIにデーターを入力して監視するという新たな仕事が発生し、楽になるどころかむしろ手間が増える。そういう、
どこぞの政党みたいに、無駄な仕事を増やして“やっている感”を出すのは、私は反対だ。あ、既に十分に充実しているので、そういうの、いいです。

 もっとも、
こういうのは、世の中に有り触れたことである。
 …例えば、今から10年くらい前には、ゲーム業界において、
「カイガイ病」というのが蔓延した。要は、“これからは日本ゲームも海外で売っていく必要がある”という考えの元、海外のヒットゲームの要素を取り入れるというものだ。だが、それが非常に表面的であり、「FPS」「オープンワールド」といったジャンルや、ゴリラみたいなオッサン&オバサン主人公などの要素を、安直に真似しただけというものが非常に多かった。しかも、「海外」と言っても、北米とアジアでは、求められるゲームの質が全く違う。海外って、それどこの海外だよ。世界は「カイガイ共和国」じゃねえんだよ。
 ――なお、その後の展開から分かっていただける通り、結局、海外の人が求めている「日本のゲーム」は、漫画やアニメのような少年少女のキャラクターに、ムービーやBGMのかっこよさ、ストーリー要素の強さ、ボス戦を山場としたゲームスタイルといった、日本的なゲーム要素だ。海外に媚びた作品を作るより、日本人らしいゲームのほうが、日本だけでなく世界にも受け入れられるのである。あの時代の「オープンワールド病」は、まさしく「オープンワールド」という新しい技術が、手段ではなく目的化してしまった結果なのである。
わりぃ、やっぱつれぇわ。
 他にも、それより更に少し前、まだスマートフォンの普及率がそこまで高くなかった頃には、ただPCの計算機能をスマートフォンに移しただけで、
「スマホが担う未来の仕事!」などと報道で持て囃されていたことを覚えている。ドローンとかもそうだった。やれ、こういうものは、流行と同じであり、新しい商品が出ると、「問題解決の手段として相応しくない」や「資金や追加作業など、余計なコストを要求されるといった実務上の問題は無視されて、とにかく新しいものを導入しよう、いや、導入しなければというムーブが発生する。そういうものを仕掛ける逮捕されないだけの詐欺師と、その音頭に乗せられて高額な手数料を取られる阿呆が、いつの時代も居るのである。

 さて。今回の、「SE部が担当する数十個程度のQ&Aに対し、対話型AIを利用する」も含めて、私は、
弊社のAI導入は、ことごとく失敗すると思っている。
 …その根拠は、7月に投入された、
おっさんのAIイラスト【日記:2025/7/15】「AIイラスト」自体は、当サイトにも定着しているように、私も好きな技術だ。しかしながら、それが弊社では、“社長が自分の似顔絵を社内システムで見せびらかす”という、非常に愚かな方式で利用された。あれから半年近くが経ったが、変化は、その週の営業成果に合わせて、おっさんの表情が3種類に変わるだけである。AIイラストが持つ、「多彩な画像を、日替わりすら楽勝なレベルで、即座に作成できる」という利点は、全く活かされていない。弊社のAI活用など、この程度である。その失敗事例を、もっと世間に知らしめなければならない。
 ――やれ。確かに「AI」は、現時点ですら人間を凌駕しつつあるほどの、優れた技術であろう。だが、“限定環境における、オタク知識の掘り下げ”においては、まだまだ人間に圧倒的な分がある。AIとかいう新しい
オモチャを買う前に、まず、いま最低賃金で働いている人間の職員のほうから大切にしてみたらどうだろうか。

(2025年11月27日)

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